前回は、飛行マニュアルの概要と、航空局標準マニュアルの種類をご紹介しました。
今回は、各航空局標準マニュアルの概略と留意点についてお話ししたいと思います。
・航空局標準マニュアル①(場所を特定した申請)
対象となる飛行空域と方法:空港等周辺、150m以上、DID、夜間、目視外、30m、催し、危険物、物件投下 ⇒空域・方法の詳細は、「ドローン飛行許可申請のおさらい」を参照してください。
航空局標準マニュアル②
・航空局標準マニュアル②(場所を特定しない申請)
対象となる飛行空域と方法: DID、夜間、目視外、30m、危険物、物件投下
※ドローン飛行時の基本体制が定められおり、飛行場所や飛行方法に制限が加わっています。これら制限に反する飛行を行った場合は、航空法違反になりますので注意が必要です。
制限の一例を次にご紹介します。
1.第三者の往来が多い場所や学校、病院等の不特定多数の人が集まる場所の上空やその付近は飛行させない。
2.高速道路、交通量が多い一般道、鉄道の上空やその付近では飛行させない。
3.高圧線、変電所、電波塔及び無線施設等の施設付近では気泡させない。
4.人又は物件との距離が30m以上確保できる離発着場所及び周辺の第三者の立ち入りを制限できる範囲で飛行経路を選定する。
5.人又は家屋が密集している地域の上空では夜間飛行は行わない。
6.人又は家屋が密集している地域の上空では目視外飛行は行わない。
7.夜間の目視外飛行は行わない。
航空局標準マニュアル(空中散布)
・航空局標準マニュアル(空中散布):農用地等における無人航空機による空中からの農薬、肥料、種子又は融雪剤等の散布(空中散布)を目的
対象となる飛行空域と方法:DID、夜間、目視外、30m、危険物、物件投下
航空局標準飛行マニュアル②(飛行場所を特定しない申請)に準ずる内容
※3-6として「補助者を配置せずに空中散布を行う際の基本的な体制」が追加されており、飛行高度4m以下、立入管理区画の設置などが規定されています。
航空局標準マニュアル(研究開発)
・航空局標準マニュアル(研究開発):無人航空機の機体及び操縦装置の研究開発のための試験飛行を目的(場所を特定した申請)
対象となる飛行空域と方法:150m以上、DID、夜間、目視外、30m、催し、危険物、物件投下
航空局標準マニュアル①(場所を特定した申請)に準ずる内容
※マニュアルの前提として、「飛行させる場所が運航者等において第三者の立入管理を確保(無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領5-4(3)c)オ」及びカ))できており、飛行させる空域における航空機の飛行状況を空域監視装置等によって監視できる対策を講じること。」が求められています。
航空局標準マニュアル①(インフラ点検)
・航空局標準マニュアル①(インフラ点検):無人航空機によるインフラ点検飛行を目的(場所を特定した申請)
対象となる飛行空域と方法:空港等周辺、150m以上、DID、夜間、目視外、30m
航空局標準マニュアル①(場所を特定した申請)に準ずる内容
※風速に関しては「機体の耐風性能を上回る風速では飛行させない」となっています(航空局標準マニュアル①では、風速5m/s以下に特定)。
航空局標準マニュアル②(インフラ点検)
・航空局標準マニュアル②(インフラ点検):無人航空機によるインフラ点検飛行を目的(場所を特定しない申請)
対象となる飛行空域と方法: DID、夜間、目視外、30m
航空局標準飛行マニュアル②(飛行場所を特定しない申請)に準ずる内容
※航空局標準マニュアル②(場所を特定しない申請)の上記追加制限1、2、3,4及び6については、次のように緩和された内容となっています。
1.第三者の往来が多い場所や学校、病院等の不特定多数の人が集まる場所の上空やその付近を飛行させる場合は、第三者の立ち入り制限を行ったうえで飛行させるとともに、突風等の不測の事態を考慮して当該場所の付近(近隣)の第三者や物件への影響を予め現地で確認・評価し、補助者の増員等を行う。
2.高速道路、交通量が多い一般道、鉄道の上空やその付近を飛行させる場合は、事前に飛行ルートを確認し支障物件等が無いか確認するとともに、安全を確保するために必要な人数の補助者を配置し、相互に安全確認を行う体制をとり、飛行範囲に第三者が立ち入らないように注意喚起を行う。また、車両が走行する車線もしくは鉄道、及び支障物件等に接近した場合は操縦者に適切な助言を行い、飛行を中止する等適切な安全措置をとる。
3.高圧線、変電所、電波塔及び無線施設等の施設付近を飛行させる場合は、飛行距離及び高度の限界値を設定して不必要な飛行を行わないようにし、第三者の立ち入り制限を行ったうえで飛行させるとともに、突風や電波障害等の不測の事態を考慮して当該場所の付近(近隣)の第三者や物件への影響を予め現地で確認・評価し、補助者の増員等を行う。
4.人又は物件から 30m 以上の距離を確保できる離着陸場所を可能な限り選定すること。
6.人又は家屋が密集している地域の上空では目視外飛行は行わない。ただし、やむを得ず業務上飛行が必要な場合は必ず常時操縦者と連絡を取り合うことができる補助者による目視内での飛行を行い、飛行距離及び高度の限界値を設定して不必要な飛行を行わないようにし、第三者の立ち入り制限を行ったうえで飛行させるとともに、突風等の不測の事態を考慮して当該場所の付近(近隣)の第三者や物件への影響を予め現地で確認・評価し、補助者の増員等を行う。
※2021年9月6日追記
航空局標準マニュアル(インフラ点検及び設備メンテナンス(プラント保守))
8月27日に国土交通省が「インフラ点検及び設備メンテナンス用の標準マニュアル」を改正して、ホームページで公表されたものです。
8月27日の河野内閣府特命担当大臣記者会見要旨において、「ドローンの飛行に関する規制改革」について、報告のあった「インフラ点検等における許可・承認基準の緩和」に伴うものです。
詳細は、「ドローンに関する規制改革」をご覧ください。
※2021年11月1日追記
航空局標準マニュアル改正(事故等報告時の連絡先変更)
許認可業務の拠点集約に伴い、令和3年10月1日以降、ドローン等を空港・ヘリポート周辺や高度150m以上、緊急用務空域(当該空域が指定された場合)で飛行させる方は、申請手続き・事故等報告先が変更となります。
航空局標準マニュアルは、その飛行目的・形態などによって飛行場所や飛行方法に制限が加えられてますので、使用する場合は、自分の飛行目的・形態に沿ったマニュアルかどうか、しっかり内容を確認することが重要となります。
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