ドローン飛行許可申請のおさらい

ドローン飛行許可申請のおさらい

2021/06/28

ドローンで空撮したい、点検など仕事でドローンを飛ばしたいといった時に気を付けなければならないことがあります。それは、「その場所が航空局から許可・承認を受ける必要があるのか」というです。

今回は、航空局へのドローン飛行申請の必要性と申請方法について、おさらいしたいと思います。

飛行申請は、何時でも何処でも必ず必要というわけではありません。

航空局から許可・承認を受けなければならないドローン飛行には2種類があります。

Ⅰ. 許可・承認が必要な飛行禁止空域

ドローンで空撮したい、点検など仕事でドローンを飛ばしたい時に気を付けなければならないことがあります。

これらの空域で許可が必要なのは、航空機の安全に影響する可能性や、落下した際に地上の人や建物などに危険が及ぶ可能性があるためです。

A:空港等の周辺の上空の空域

さらに空港毎に高さ制限があり、それより高く飛行させる場合は空港管理者への連絡と許可が必要となります。

C:地表又は水面から150m以上の高さの空域

その上空の地表又は水面からの高さとなり、山頂などから平地に向けて飛行を開始する場合は、この高さに注意が必要です。

D:人口集中地区(DID)の上空の空域

飛行禁止空域については「国土地理院の地理院地図」や専用アプリで確認できます。

※2022年4月11日追記

2022年3月25日付で令和2年の国勢調査の結果に基づく人口集中地区が公表されました。
これに伴い6月25日から令和2年の国勢調査の結果に基づく人口集中地区を使用します。

これにより今まで人口集中地区でなかった場所でも新たに人口集中地区とされている場合もありますのでご注意ください。

これら以外に、令和361日から、航空法施行規則の改正により、「緊急用務空域」という無人航空機(ドローン)の飛行禁止空域が新たに指定されました。

B:緊急用務空域

この空域では原則ドローン飛行は認められません。

詳しくはこちらをご覧ください。 

「緊急用務空域」での無関係のドローン飛行が禁止に!

これら4つの空域以外の場所では、航空法上の許可の必要なく、200g以上のドローンを飛ばすことができます。

Ⅱ. 許可・承認が必要な飛行方法

航空法において、飛行禁止空域以外の場所でも、次の6つの飛行方法を行う場合は、事前に航空局の許可を受ける必要があります。

これら飛行方法は、技能認証を取得しているなど危険を回避できる技術と知識を持つ操縦者に許されるものです。

夜間飛行

夜間とは、「当日の日没から翌日の日の出まで」を意味します。日の出および日没の時刻は、国立天文台が発表する「日の出」および「日の入り」の時刻となります。そのため、季節・地域によって時刻が異なりますので、注意が必要です。

目視外飛行

操縦者が常時目視できない飛行、例えば双眼鏡の使用、モニターや・ゴーグル(FPV)でドローンのカメラ映像を使って操縦する方法です。飛行場所によっては、補助者を置くことが必要となりますので、注意が必要です。

人又は物件から30m以上の距離が確保できない飛行

事前の許可なしに、操縦者やその飛行を認めている関係者以外の人や物件30m以内の近さで飛ばすことはできません。

催し場所上空の飛行

イベントなどの催し物上空の飛行は、その許可に厳しい条件が課されます。申請方法も包括申請は認められず、個別申請のみとなります。機体や観客(監視員の配備など)の安全管理に関する詳細な飛行計画の提出が必要となります。

危険物輸送

対象となる危険物はどのようものでしょうか。航空局が例としてあげているのは、凶器、毒物類、火薬類、引火性液体などですが、例えば飛行機に持ち込めないものをイメージすると理解しやすいかもしれません。

物件投下

ドローンの物件投下には、液状物(農薬など)を投下(散布)することも含まれます。ドローンで農薬散布を行う場合、事前に航空局の許可を受ける必要があります。ちなみにドローンで散水する場合も物件投下にあたりますので注意が必要です。

ドローン飛行申請の方法は?

航空局の飛行申請は、オンラインシステムである「DIPS(ドローン基盤情報システム)」を利用して、いつでも無料で申請することができます。

・原則として 24 時間 365 日いつでも申請書の提出が可能です。

・申請書の内容を自動チェックするので、はじめて申請される方でも簡単に申請書を作成できます。

・過去に許可・承認を受けた申請書を再利用して簡単に申請書を作成することができます。

但し、許可・承認申請は、フライトの10日前(土日祝等除く)までに行う必要がありますので、余裕を持った申請手続きが必要です。

※2022年4月25日追記

なお、具体的な申請方法は、航空局が出している「DIPS指南書」を(令和4年2月更新)ご確認ください。

※2021年9月2日追記

航空法施行規則の一部改正(2021年10月予定)

国土交通省は、2021年10月の航空法の施行規則改正を目指してパブリックコメントを募集しています。

今回の改正のポイントは、次の2点となります。

①十分な強度を有する長さ30メートル以内の紐などでドローンを係留し、飛行範囲内への第三者の立ち入りを監視する場合は、人口集中地区(DID)の上空、夜間飛行、目視外飛行、第三者から 30m 以内の飛行、物件投下を行う際は、事前の許可・承認申請の対象外とする予定。

高さが150メートル以上のビルなど高構造物周辺については、30メートル以内の空域でのドローンの飛行禁止対象から除外する予定。 

※2021年9月13日追記

航空法に基づく運航許可の申請先変更(2021年10月1日)

国土交通省は、ドローン(無人航空機)の飛行許可をはじめとする航空法に基づく運航許可などの申請先を、10月1日から東日本は東京空港事務所、西日本は関西空港事務所に変更します。

現在は、空港により各空港事務所で扱っているところがありますが、変更後は新潟県、長野県、静岡県から東の区域が東京空港事務所、富山県、岐阜県、愛知県から西の区域は関西空港事務所が申請・届出先となります。

なお、許可期間(実施日)が10月1日をまたぐ申請で、9月30日までに許可されたものは引き続き有効で、再申請は不要とのことです。

※2021年10月18日追記

航空法施行規則の一部改正

国土交通省は、航空法の施行規則改正を目指してパブリックコメントを募集しています。

今回の主な改正ポイントは、次の2点です。

①無人航空機の登録制度
ドローンの各機体毎の国への登録が義務付けられます。
・事前登録開始期日は令和3年12月20日、義務化期日は令和4年6月20日

改正内容の詳細は、「ドローン飛行に関わる法律のおさらい_その1」をご覧ください。

②重量100g以上のドローンが航空法の規制対象に

施行日は令和4年6月20日

この改正が施行されると、これまで対象外であった重量100g以上200g未満のドローンも飛行申請が必要となりますので、対象ドローンをお持ちの方はお気を付けください。

※2021年11月08日追記

資料の一部を省略することが出来る無人航空機の追加(2021年10月27日)

以下の無人航空機が、「資料の一部を省略することが出来る無人航空機」として追加されました。
 

DJI AIR 2SDJI
MAVIC 2 ENTERPRISE ADVANCEDDJI
AGRAS MG-1PDJI
MG-1KDJI/(株)クボタ
MG-1SAKDJI/」株)クボタ
MG-1RTKDJI/(株)クボタ

書類の一部を省略できることのメリット

資料の一部を省略することが出来る無人航空機の一覧に記載の無人航空機を用いて飛行申請する場合は、機体の画像(多方面)や運用限界等の資料添付が不要となります。

※2022年06月20日追記

重量100g以上のドローンが航空法の規制対象に

航空法施行規則の改正により、令和4年6月20日以降は、重量100g以上の機体が「無人航空機」の扱いとなります。
それに伴い、新たに無人航空機の対象となる100g~199gの機体についても、飛行の許可・承認申請が必要となります。

6月10日よりDJI社製MAVIC MINIおよびMINI 2がDIPSの「ホームページ掲載無人航空機」に追加されています。
新たにDIPSで申請書を作成する場合は、「ホームページ掲載無人航空機一覧」より該当機体を選択することができます。

※2022年06月27日追記

登録義務化に伴う飛行許可承認申請の手引資料の更新

6月20日からの無人航空機の登録義務化に伴い、DIPSでの飛行申請における「申請手引き資料」、「操作マニュアル(申請者編)」が更新されました。
飛行申請を行う際は、下記資料を確認し、「登録記号」または「試験飛行届出番号」のいずれか一方を必ず入力する必要があります。

なお、機体情報一覧で「ドローン登録システムから情報取得」を選択した場合、ドローン登録システムのログインID・パスワードを使用して連携することで、これに紐づく登録記号取得済の機体情報を、HP掲載機であるかを自動判別した上で入力画面に反映することができます(申請手引き8頁)。

※2022年07月11日追記

令和4年6月25日から令和2年国勢調査結果に基づく人口集中地区を使用

 飛行許可・承認が必要な飛行禁止空域の「人口集中地区(DID)の上空の空域」の判断について、2022年6月25日より令和2年国勢調査結果に基づく人口集中地区が使用されています。

今まで人口集中地区でなかった場所でも新たに人口集中地区とされている場合がありますので、ドローン飛行計画を作成の際はご注意ください。

新たに人口集中地区に指定された場所でドローン飛行を行う場合は、航空局から事前に許可・承認を受ける必要があります。

※2022年12月5日追記

ドローン情報基盤システム2.0(DIPS2.0)

飛行開始日が2022年12月5日以降となる飛行申請を新たに提出する場合は、ドローン情報基盤システム2.0(DIPS2.0)にて申請する必要がありますので、ご注意ください。

新しく導入されるDIPS2.0では、ドローン登録機能:DRS、飛行許可承認申請機能:DIPS、飛行情報共有機能:FISSの全ての機能を1つのWebサイトで完結して利用することができます。

なお、ログインIDやパスワードは全てが従来のドローン登録機能:DRSで使われていたログインID/パスワードのみにまとめられるようになります。

※2023年1月9日追記

無人航空機の飛行計画の通報

この制度は、無人航空機を特定飛行させる者が、事前に当該飛行の日時、経路などの事項を記載した飛行計画を国土交通大臣に通報する制度です。

これまではFISSへ飛行計画を登録していましたが、飛行開始日が2022年12月5日以降となる飛行計画の登録については、新たにリリースされたDips2.0から手続きを行う必要があります。

詳細は、無人航空機の飛行計画の通報要領」をご確認ください。

事前に飛行許可承認を取得している場合でも、必ずDIPS2.0から飛行計画の通報を行った上で、ドローン飛行をお願いします。

なお、飛行計画の通報をせずに特定飛行を行った場合は、航空法第157条の10に従い、30万円以下の罰金が科せられますので、ご注意ください。

※2022年12月19日追記

飛行日誌の作成

この制度は、無人航空機を特定飛行させる者が、飛行・整備・改造などの情報を遅滞なく飛行日誌に記載しなければならない制度です。

2022年12月5日より、特定飛行(DID、夜間飛行、目視外飛行、30m接近飛行など)を行う場合は、飛行・整備・改造などの情報をまとめた飛行日誌を作成しなければなりません。

飛行日誌は、「飛行記録」、「日常点検記録」、「点検整備記録」の3点をまとめた資料になります

。飛行日誌の作成の詳細については、「無人航空機の飛行日誌の取扱要領」をご確認ください。

・飛行記録

飛行記録とは、飛行した場所、着陸時間などをまとめた資料です。

飛行記録は飛行後に作成する必要があります。

記録は機体毎、1飛行毎に行う必要があります。

目的地に着陸後、バッテリーの交換等のために電源を停止させた場合は、そこまでで1飛行となり、交換後の飛行は2飛行目となります。

飛行記録の様式は、無人航空機の飛行日誌の取扱要領をご確認ください。

UAVJAPANは大阪に拠点を置き、空撮・点検・測量など様々なドローン関連事業を展開しています。


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