ドローン空撮におけるプライバシー権について

ドローン空撮におけるプライバシー権について

近年、ドローン技術が一般的に普及し、空撮がより身近な存在になりつつあります。
また撮影した映像や写真はインターネットを通じて、簡単に公開することができ、
公開された映像や写真は多くの人の目に止まる機会が増えてきました。
一方で、映像や写真に写り込んだ個人のプライバシー権や肖像権の侵害の危険性が議論されることも
多くなってきています。
空撮する際には、実際にどのような点に注意すればよいのでしょうか。
プライバシーの侵害という言葉をよく耳にしますが、プライバシーとはいったいどのようなことを指すのでしょうか。
最高裁判所の判例によると「個人に関する情報をみだりに第三者に開示または公表されない自由」のことをプライバシーの権利であると定義されています。
ここで言う、”個人に関する情報”とは氏名、住所、電話番号、顔写真などの個人が特定できる情報のことを指します。
これらが公開されることで不利益を被ったり、不快な思いをした場合、プライバシーの侵害とみなされることがあります。
また、これらの個人情報のうち、映像や写真が公開されることでプライバシーが侵害された場合、肖像権が侵害されたとみなされるケースがありますので、プライバシー権の一部に肖像権があると考えられるようです。
実際にはプライバシーの侵害に当たるケースというのは、以下の内容に該当する必要がありますので、
空撮を行った映像や写真をインターネット上に公開したからと言って、全てが問題になるわけではありませんが、プライバシーに十分に配慮した上で空撮を行うように心掛けましょう。
  • 私生活上の事実
  • 今まで公開されていなかったこと
  • 公開されて被害者に不利益が生じた、不快な思いをした

総務省からガイドラインが公開

総務省から平成27年9月にドローン空撮に関するガイドラインが公開されています。
その中では空撮の基本的な考え方として、プライバシーに配慮して空撮をするべきとされています。
 
具体的には
①住宅地にカメラを向けないようにするなど撮影態様に配慮する
②人の顔や車両のナンバープレート、住居内の生活状況を推測できるような私物にぼかし処理等を施す
ことでプライバシーの侵害に対して配慮するべきとしています。
 
写り方によっても、プライバシーの侵害にあたるかどうかの判断が分かれる部分になりますので、一概には言えませんが十分配慮しないと、最悪の場合訴えられるケースもあるため注意が必要です。

モデルリリースとプロパティリリース

iStock モデルリリース
iStock プロパティリリース
どうしても撮影した映像や写真を使いたい場合は必ず、使用許可をとりましょう。
人物の肖像権についてはモデルリリース、建物や商品などについてはプロパティリリースに同意してもらう必要があります。

モデルリリースとは

肖像権を持つ被写体の人物に署名をしてもらい、映像や写真の使用を同意してもらう肖像権使用同意書のことです。
ドローンで撮影したデータを素材販売サイトに登録する場合などは、たとえ自分を撮影したものであってもモデルリリースが必要になります。(正面はもちろん、横顔、特徴的な格好で個人が特定できる場合など)

プロパティリリースとは

特定の建物や店舗・施設・アート作品・デザイン性のある商品・個人所有のペットなど第三者の著作物が写っている場合、その被写体の権利所有者に撮影する許可と写真の使用を同意してもらう許諾書のことです。
こちらも自分のペットおよび製作したアート等を撮影・公開する場合にプロパティリリースが必要になります。
 
Getty imagesが提供する写真・映像販売サービスiStockでは世界でも最も厳しい基準で作成されたモデルリリース、プロパティリリースのひな形がダウンロードできます。(下までスクロールしてjapaneseと記載されたデータをご使用ください)
iStockのモデルリリース・プロパティリリースは、ShutterstockAdobe StockPIXTAなど多くのサイトで作品を登録する際に使用できますよ。
撮影のチャンスは一期一会。
公開の機会を失わないために、撮影時には持ち歩くようにしておきたいですね。
空撮を安心して楽しむためにも、是非ご活用ください!

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