ドローンを輸出するには、外国為替及び外国貿易法に基づき、事前に経済産業大臣の許可が必要ってご存じですか?
「外国為替及び外国貿易法」(外為法)の「リスト規制」の対象としては、「兵器そのもの」、 「兵器もしくはその一部になりそうな高い性能を持つ汎用品」、「兵器の開発などにも利用できる高い性能を持つ汎用品」が該当します。ドローンは高性能の飛行制御装置(フライトコントローラー)やセンサー類を搭載しているため、このリスト規制の対象になっています。
では、ドローンにはどのようなフライトコントローラーやセンサーが搭載されているのでしょうか。
フライトコントローラーは、ドローンの根幹となるユニットで、パソコンやスマホでいうところの「OS」にあたり、マイクロコントローラー、各種センサー、GPSモジュールなどで構成されています。
マイクロコントローラー
ドローンの自律性能と運動性能を最大限に発揮できる制御アルゴリズムを搭載しています。
マイクロコントローラーには、センサー群が取得した信号とGPSモジュールが取得した信号が常に入力されます。
センサー群から取得したデータに基づき、マイクロコントローラーはESC (Electric Speed Controller)に適切な制御信号を出力します。
ひとつのモーターに対して、ひとつのESCがつながっており、ESCはそれぞれのモーターを独立してコントロールしています。
これにより各モーター(すなわちプロペラ)の回転数をコントロールすることで、ドローンの自在な動きが可能となるのです。
各種センサー
IMU (Inertial Measurement Unit:慣性計測装置)
3軸ジャイロセンサーと3軸加速度センサーを組合せた6軸のセンサー
3軸ジャイロセンサーと3軸加速度センサーとの組み合わせで、機体が傾いた場合反対の向きに制御し、ドローンの平衡を保ち、安定した飛行やホバリングを維持してくれます。
ドローンでは、小型、軽量、消費電力が少ない、振動に強いなどの理由から、IMUとして搭載しています。
IMUは、機体の姿勢制御を行うためのセンサーのことで、人間で例えるとバランスをつかさどる「三半規管」のようなものです。
従って定期的にIMUキャリブレーションを行ってメンテナンスすることが必要です。特に旅行などで飛行場所が変わったときや機体が安定しないといった症状が現れた際はメンテナンスが必須です。
3軸ジャイロセンサー(3軸角速度センサー)
ジャイロセンサーは、「コリオリの力」を利用してドローンの前後の傾きと左右の傾き、回転の角速度を検出し、機体の姿勢と動きを把握します。
角速度とは、物体が回転する速度(単位時間あたりの角度移動量)のことです。
例えば、ドローンが強い風の影響でバランスを崩したときに動いた量をジャイロセンサーで知ることができ、ドローンは逆の動きをすることでバランスを立て直し安定飛行を継続することができます。
つまり、ジャイロセンサーは傾きそのものを把握するわけでは無く、1秒間あたりに移動する角度(量)を検出することになります。
3軸加速度センサー
加速度センサーは、重力加速度を利用し体勢の位置を検知し、ドローンの前後方向、左右方向、上下方向の速度の変化量を検出するセンサーです。ドローンの 傾きはこのセンサーで検知することができます。
このようにジャイロセンサーと加速度センサーを組み合わせることで、移動する角度量(傾き具合)と速度の両方の変化量を計算することができ、機体が傾いた場合反対の向きに制御することで、安定飛行やホバリングを維持しています。
磁気(コンパス)センサー
方位(東西南北)を検出します。
GPSが内臓されていても、ドローン本体が北の方角を認識しなければ、機能を発揮することはできません。ドローンに北の方角を教えるための作業が、コンパスキャリブレーションといわれるものです。
ドローンを飛行させる場所によっては、磁気の影響を受けることがあり、飛行場所を変更する場合にはセンサーの調整を行う必要があります。
気圧センサー
空気が押す力の程度(気圧)を検知するためのセンサーで、気圧の違いから機体の高度を把握します。
気圧は、高度によって変化(高度が高くなれば、気圧は低くなる)します。この気圧の変化を検出することで、ドローンの高度測定や高度維持できます。
また、気圧センサーから高度と速度を計測できることから、ドローンの飛行速度を計測することができます。
超音波センサー
超音波(20kHz)を利用して音波が障害物に反射し戻ってくるまでの時間を計測し、障害物までの距離を算出するセンサーです。ドローンが飛行中に周囲の障害物等を検知しそれとの衝突を回避することを目的とします。
また、直下に超音波を発信して反射信号を検出することで、対地距離を把握します。なお、離発着など地上に近い高度で使用されます。
障害物検知センサー
機体の前後左右上下の障害物を検知し、静止したり、障害物を避けた飛行を可能にします。
ビジョンポジショニングシステム(主にDJI製品)
超音波センサーとカメラの画像データを組合せて障害物検知と正確なホバリングを可能とする機能です。
搭載しているシステムの方向(前後、左右、上下)は機種によって相違しますが、下方向のシステムはほぼ搭載されています。
機体下方には、小さなカメラと超音波センサーを搭載しています。
超音波センサーはドローンの高度を測定し、カメラは機体下方向の画像データを記録しています。
このシステムにより屋内やGPSが受信できない状況でもホバリングや正確な飛行が可能となっています。
とはいえ、ビジョンポジショニングシステムにもいくつかの弱点があり、以下のような場面ではカメラが認識できず、十分に作動しない可能性がありますのでご注意ください。
・光量の少ない暗所
・単色や同一パターンの床
・水面
・10m以上の高所
赤外線センサー
物体が放射する赤外線を温度として感知し映像化、周りの光の影響を受けることがなく、昼夜対応します。
GPSモジュール
GPSによって、ドローンの位置情報を検出することが可能です。
GPSは、宇宙空間に配置されたGPS衛星から送られる電波を地上のアンテナで受信し、アンテナの位置を求める測位方法です。
測量作業の他にカーナビやハンディGPS(登山などに使用)等々に利用されています。
GPSは、全地球測位衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)の一つで、アメリカのシステムの名称です。
アメリカのGPSの他に、ロシア:GLONASS、EU:GALILEO、中国:Bei Dou(北斗)、日本:みちびきなどのシステムがあります。
ドローンの自律性
ドローンに搭載されているフライトコントローラーやセンサー類が、空を自在に飛び回ることができるドローンの運動性能や、プロポの手を放してもホバリングを維持したり、自動飛行の設定といったドローンの自律性能を可能にしているのです。
自律性とは、ドローン自身が飛行中に自身で判断し行動できるかどうかです。
自律性は、センサー類によるドローン自体の姿勢状況やドローンの周囲の状況を把握するためのセンサー類と、センサー類からの情報をリアルタイムに処理するコントローラー類が必須です。
ドローンとRC(ラジコン)との違い
ドローンとRC(ラジコン:登録商標)との違いは、自律性の有無といわれています。
ラジコンは、必ず操縦者がいて機体を目視しながら操作することが必要になります。これに対してドローンは、操縦者が目視で操作を行うパターンもありますが、GPSやセンサーなどの利用によって自律飛行が可能となっています。実はここに大きな違いがあります。
例えば、ジャイロセンサーはドローンが風で傾くのを水平に保つためにいつも働いています。一方、RCは機体の傾きなどの調整は手元でプロポの操縦で行う必要があります。
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