航空法が2021年6月に改正され、2022年12月にドローンに関するさまざまな「新制度」が施行される予定です。
現在、現行法では認められていない「有人地帯」かつ「目視外」でのドローン飛行(レベル4飛行)を2022年度を目途に実現するための法整備と新制度の設立が進められています。
国土交通省は、7月25日から8月23日にかけて、新制度に伴う「航空法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係告示及び通達の制定について」国土交通省がパブリックコメント(意見募集)を実施するなど、新制度スタートに向けての具体的な整備が進行中です。
今回は、各新制度の概略についてご説明します。
新制度のポイント
新制度では、現行法で認められていない「有人地帯」かつ「目視外」でのドローン飛行(レベル4飛行)について、機体認証を受けた機体を操縦ライセンス(技能認証)を有した者が運航管理ルールに従って実施することが求められます。
機体認証制度
機体認証制度では、ドローンの安全基準への適合性(設計、製造過程、現状)について基準を満たしているか検査を行います。
量産機では認証制度は、型式認証と機体認証に区分されます。
型式認証:設計(開発時の実機での検証)および製造過程(製品均一性の審査)の検査
機体認証:機体毎の現状検査
※型式認証を取得した機体は、機体認証の全部または一部を省略可能となります。
※自作機については、機体毎に検査(設計、製造過程、現状)が必要となります。
型式認証および機体認証は、それぞれ第一種と第二種に区分されており、レベル4飛行を行うためには第一種機体認証が必要となります。
操縦ライセンス(技能証明)制度(国家資格)
操縦ライセンス制度では、一等無人航空機操縦士と二等無人航空機操縦士の2種類があり、有効期間3年、取得16歳以上とされています。
一等無人航空機操縦士
可能となる飛行レベル:レベル4
可能となる飛行カテゴリー:カテゴリーIII
一等ライセンスを取得することで有人地帯かつ目視外の「レベル4」までの飛行が可能となります。
二等無人航空機操縦士
可能となる飛行レベル:レベル3
可能となる飛行カテゴリー:カテゴリーII
二等ライセンスを取得することで、レベル3飛行までのうち、これまで許可承認が必要であった飛行申請の一部が省略・免除されることになります。
ドローンの飛行レベル
レベル1:目視内での操縦飛行
レベル2:目視内飛行(自動/自立飛行)
レベル3:無人地帯での目視外飛行
レベル4:有人地帯での目視外飛行(現行法は原則禁止)
ドローンの飛行カテゴリー
カテゴリーI:飛行する空域や飛行方法によるリスクが低く、航空法上許可・承認が不要とされている飛行
カテゴリーII:航空法上の許可・承認を受けることにより飛行することが可能な飛行
カテゴリーIII:現行の航空法上では許可・承認がされておらず、第三者の上空を飛行することが前提の飛行
ライセンスと機体の種類
操縦ライセンスは、飛行させる機体の種類によって3つに区分される予定です。
・回転翼航空機(マルチローター)
・回転翼航空機(ヘリコプター)
・飛行機
なお、テルト機(VTOL):回転翼と固定翼の両方の能力を持ち合わせた垂直離陸機を操縦するためには、回転翼航空機「マルチローター」と飛行機の2つのライセンスが必要とされています。
基本ライセンスと限定変更
一等および二等の基本ライセンスは、「昼間飛行」+「目視内飛行」を対象としています。
この基本ライセンスに加えて3つの限定項目(「目視外飛行」、「夜間飛行」、「最大離陸総重量25㎏以上の機体」)があります。
・基本ライセンス:昼間飛行+目視内飛行
・限定変更:目視外飛行
・限定変更:夜間飛行
・限定変更:最大離陸総重量25㎏以上の機体
例えば、「25㎏以上のドローンを使って第3者上空の目視外飛行」を行う場合は、一等基本ライセンスとともに2つの一等限定変更(目視外飛行および最大離陸総重量25㎏以上の機体)の取得が必要となります。
民間ライセンス(技能認証)
民間ライセンス(ドローンスクールなど)取得している場合、国家資格としての操縦ライセンスの実地試験の免除が行われる予定です。
また、民間ライセンスがあれば従来通りの方法でドローンを飛行させることができます。
レベル4の飛行は一等ライセンスのみが可能ですが、民間ライセンスでも二等ライセンスと同様にレベル3の飛行も可能です。
但し、必要な国土交通省への申請はこれまで通り行う必要があります。
登録講習機関
国家資格としての操縦ライセンス(技能証明)制度の開始に伴い、登録講習機関(ドローンスクール)の登録制度(国土交通省)も開始され、早ければ2022年12月5日から開始されます。
この制度は、無人航空機を飛行させるのに必要な知識及び能力の付与を進めると共に、技能証明の発行を円滑に進めるため、国が定める施設及び設備、講師等に係る要件を満たした民間事業者を登録講習機関として認定するものです。
ライセンス取得ための講習時間は次の予定です。
※一等無人航空機操縦士
・初学者:学科講習18時間以上、実地講習60時間以上
・経験者:学科講習9時間以上、実地講習17時間以上
※二等無人航空機操縦士
・初学者:学科講習10時間以上、実地講習15時間以上
・経験者:学科講習4時間以上、実地講習5時間以上
運航管理
レベル4飛行とレベル4未満の飛行のいずれにも求める共通運航ルールを創設するとともに、レベル4飛行については運航管理体制を個別に確認する予定です。
共通ルール
・飛行計画の作成・提出
・飛行日誌の作成
・事故報告の義務
・救護義務
レベル4飛行に必要な運航管理体制
運航形態に応じたリスク評価を行い、評価結果に基づくリスク軽減策を盛り込んだ飛行マニュアルを作成・遵守を求める予定。
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