ドローンと産業廃棄物

ドローンと産業廃棄物

2021/08/23

近年、自治体がドローン等の無人航空機を活用して、不法投棄や産業廃棄物投棄を上空から監視する事例が報告されています。

道路など地上からの目視による確認が困難な場所であっても、ドローンにより上空から確認することで投棄状況の把握が容易になります。また、ヘリコプターや航空機による調査に比べ、迅速に対応できることや経費面での効率化も見込めるということで、今後ドローンの新たな活用法として注目されそうです。

2022年9月には、三重県伊賀市で「自動運用型ドローンによる不法投棄監視法の実証実験」が行われました。

県庁会議室からの指示により、自動運用型ドローンが離陸。リアルタイムで県庁へデータ送信をしながら、およそ数km離れた60ヘクタールのエリアを30分弱の時間で調査し、不法投棄された場所を検出しました。

※神奈川県新聞報道:「ドローンで河川監視 自律飛行で災害状況把握、AIが不法投棄検知

※新潟県ホームページ:「無人自律航空機(UAV)・ドローンによる不法投棄監視

※三重県ホームページ:「自動運転型ドローンによる不法投棄監視手法の実証事業を実施します

           実施報告

※和歌山県ホームページ:「ごみの不法投棄を撲滅」 YouTube動画

※茨城県プレスリリース:「不法投棄等事案でのドローン活用状況

※青森県環境白書:「令和2年版 概要版

革新的河川技術プロジェクト

2019年、国土交通省は、河川巡視(ごみの投棄、樹木の生育状況、危険行為の有無など)にドローンを適用して効率化しようと、「革新的河川技術プロジェクト」として民間企業と技術開発や実証に取り組みが進められています。

「現場ニーズと技術シーズのマッチング」の例

ところが、ドローンの扱い方によっては、ドローンそのものが廃棄物処理違反になってしまうことになるのはご存じですか。

ドローンが産業廃棄物?

ドローンは、フライトコントローラーやセンサー類(「ドローンとセンサー」)などの電子回路やリチウムポリマーバッテリー(リポバッテリー)を搭載する精密機械です。

ドローンは、一般廃棄物ではなく産業廃棄物に区分されますので、ドローンを廃棄する場合は、市町村へ確認しその自治体の規制に合わせた処理を行えば問題はありません。

なお、電子回路やバッテリーを専門に取り扱う処理業者もあります。

適切な処理を行えないと産業廃棄物法(産廃法)違反となりますので、ご注意ください。

産業廃棄物法違反の罰則は、「5年以下の懲役若しくは1,000万円の罰金またはこの併科」と規定されています

ドローン放置は廃棄物処理法違反!

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ドローン飛行において、機体をロストしてしまう危険性は常にあります。

ドローンは産業廃棄物扱いなので、ロストのまま放っておくことは廃棄物処理法違反となってしまいます。

国土交通省に報告されたドローントラブルの上位原因は、操縦者の過失、電波障害、機体の整備不良などです。

これらが原因で機体がどこに行ったか分からなくなってしまうリスクは決してゼロではありませんので、日々の操縦技術の研鑚や機体整備(「メンテナンス方法」、「キャリブレーション」)の定期的な実施を心がけてください。

ロストドローンの捜索努力を!

ドローンにGPSを内蔵していれば、ロスト位置がアプリの地図上に表示されている可能性はあります。

そうであっても、アプリ地図表示と実際のロスト場所がずれていたり、GPSそのものが機能しない場所であったり、ロスト位置がある程度分かっても回収自体が容易ではない場所(山林など)という場合もあるでしょう。

しかしながら、どのような場合であっても、ドローンがどのような状況にあるかを確認するための努力は尽くしてください。

ドローンをロストしたということは、ドローンは確実に墜落していることを意味します。墜落したドローンにより、重大な事故やトラブルを引き起こしている可能性があります。

※墜落したドローンが人や物件に接触して怪我や破損させている。

※道路や鉄道などのインフラ施設に墜落し、正常な運行を妨げている。

※墜落の衝撃でリポバッテリーが発火し、火事を引き起こしている。

最近のドローン保険(「ドローンと保険」)には、機体の捜索・回収費用(交通費や宿泊費など)を補償するものもあるようです。

※2021年9月27日追記

ロストドローンを見つけられなかったときは?

ロストドローンを見つめられなかったときに、対応しておくべきことは何でしょうか。

所有者/管理者への連絡

ロストした場所の所有者または管理者が確認できる場合は、しっかりと連絡を。

警察への遺失物届

管轄する警察署へ遺失物届を提出します。遺失物届の提出は不法投棄ではないことを示すことができます。

保険会社などへの連絡

加入している保険や利用しているサービスで何らかの対応ができないか確認してください。機体の捜索・回収費用(交通費や宿泊費など)を補償してもらえる場合もあります。但し、ロスト機体の回収が保障の条件という保険が多いです。

国土交通省への報告

機体ロストは国土交通省への事故報告書の対象となります。

※2021年10月25日追記

ロストドローンを探す

DJI製のドローンを探す場合は、次のような方法があります。

DJI  GO 4の場合

DJI  GO 4 のトップ画面(機体選択画面)より右上の三本線のマークをタップして下さい。

表示されるメニューの「ドローンを探す」をタップして下さい。

最後にフライトした位置が表示されます。

※この機能は、機体墜落時に電源が入っており、かつGPSの信号を受信していたことが必要となりますのでご注ください。

※2021年11月15日追記

DJI  Fly の場合

DJI Flyのトップ画面 「プロフィール」をタップしてください。
次に表示される「ドローンを探す」をタップしてください。
最後にフライトした位置が表示されます。

※2021年10月11日追記

フェールセーフ (FailSafe)の設定

フェールセーフ (Fail Safe)という機能をご存じですか。

これは、操縦中に電波が途切れるなどの予期せぬトラブルによって、ドローンとプロポとの接続が切れ、飛行が困難になったときなどの安全機能です。できるだけロストトラブルを防ぐためにも、必ず飛行状況に合わせたフェールセーフの設定をお願いします。

今回は、DJI GO 4の画面を参考にご紹介します。

iOS の画像 (2)

プロペラマークの下部にある詳細設定の中にある項目です。飛行中、プロポからの電波が途切れ一定時間が経つと自動的に作動する機能です。

フェールセーフには3種類あります。

・リターントゥーホーム(RTH)

・着陸

・ホバリング

リターントゥーホーム(RTH)

接続が切れた際に、離陸した地点(ホームポイント)へ自動的に帰還します。

RTHを設定した場合は、帰還時の高度設定も必要です。設定した高度より高い障害物があると衝突してしまう可能性があります。

着陸

接続が切れた際に、その場で下降し着陸します。

着陸場所の周辺状況が事前に確認できない場合は、この選択は難しい状況にあります。

ホバリング

接続が切れた際に、その場でホバリングを維持し、バッテリーが少なくなるとその場で下降し着陸します。

上空に障害物があることが分かっている場合は、ホバリングの設定も選択肢になります。但し、操縦者自身が移動してドローンに近づき、電波の再接続が可能な状態か見極めておく必要があります。 

フェイルセーフは、基本的にはリターントゥホームの設定をお勧めします。ドローンとプロポの間の電波が途切れた状態というのは、プロポ画面にドローンの周辺の映像が届いていないこと、すなわちドローン周辺の状況を把握できていないことを意味します。

このような状態でその場に着陸やバッテーリーが切れるまでホバリング状態を維持することは、やはり不安が大きいことになります。

※2021年12月13日追記

バッテリーの廃棄方法

ドローンのバッテリーはリチウムイオン電池を使用しており、取り扱い方や廃棄の仕方が難しい面があります。

ここでは環境省や消防庁が推奨している一般社団法人JBRC協力店に設置されている「回収BOX」の利用をご紹介します。

一般社団法人JBRCは、資源有効利用促進法に基づき小型充電式電池のリサイクル活動を推進をおこなっています。

一般社団法人JBRC協力店の検索は、JBRCホームページ内の『協力店・協力自治体』検索によって、都道府県⇒市区町村まで絞り込むことができますので、最寄りの協力店をご確認ください。

バッテリーの廃棄準備

①バッテリーの放電処理

廃棄前には、放電を行ってできるだけ充電量を減らしておきます。

ドローンにバッテリーを装着して、オンのままにしておくのも一つの方法です。

②バッテリー接続部の絶縁

バッテリーの接続部や電極端子部にテープなどを貼って、ショートが起きないように絶縁処理を行います。

回収可能なバッテリー

バッテリーの回収が可能かどうかは、リサイクルマークがついているかを確認します。

このマークがついていればリサイクルの対象となります。

スクリーンショット (95)

最後にJBRCリサイクル協力店に持っていき、バッテリーのリサイクル回収をお願いして下さい。

※2022年1月3、17日追記

ドローンの処分方法

ドローンは、一般廃棄物ではなく産業廃棄物に区分されますので、ドローンを廃棄する場合は、市町村へ確認しその自治体の規制に合わせた処理を行えば問題はありません。

しかしながら、ドローンがまだ十分に使える状態であれば、メルカリなどのフリーマーケットやヤクオフなどのオークションへの出品を利用して売買することも可能です。

最近は、ドローン専門のフリーマーケットプレイス(DRoom)などもありますので、廃棄前にこういった処分も検討されてはいかがでしょうか。

もう一つの選択肢としては、買取業者に買い取ってもらう方法があります。

Web上には、ドローン買取を行ってくれる店舗や買取までの流れなどを解説しているサイトもありますので、参考にしてください。

UAVJAPANは大阪に拠点を置き、空撮・点検・測量など様々なドローン関連事業を展開しています。


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